Two Strange InterestS
「あ、れ……?」

 腕の拘束から逃れられない。何が起こっているのか、全く、分からない。
彼の顔を見て表情を確認したいけど……何も、見えないから。


「沢城が彼女だったら……少しは俺も変われるかもな」


 刹那、いつかの言葉が頭の中でリフレインした。でも、彼は素でさらりとああいうことを言ってしまうタイプだ。そう自分に言い聞かせて……深読みしないようにしてきたのに。

 新谷氏が、見えない。

「ねぇ、どうしたの? 一体何が……」


「――ゴメン。少し、黙って」


 刹那、耳元で低い声が響いた。反射的に身をすくめる。同時に、今まで感じたことのない彼に……首を、かしげる。

「新谷氏……?」

 彼が震えているのが、バスタオル越しにはっきりと伝わってきた。
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