Two Strange InterestS
 女の私視点だから余計に思うんだけど、こういうゲームのヒロイン、人間的に素晴らしい場合もあったりして。
 料理得意、世話焼き、成績優秀、ナイススタイル。ファッションが可愛ければ参考にしたい、仕草が可愛ければ見習いたい。ただしもっぱら思うだけ。実行できればゲームを見てポッキーをくわえたりしないのである。

 主人公を操作しているリアルな私は、そんな彼女たちと間逆の位置にいるのだろう。伸ばしたことなどない、かろうじて肩付近までのびたゆれるストレートの髪に、さり気なく淵のある眼鏡。特にコレといって特徴のない風貌に、動きやすい格好が好きなので、基本的にTシャツとジーンズ着用。

 そう、こんな私だから……長い髪の毛を可愛くアレンジして(現実的に不可能な髪型の女の子もいるけどね)、普通にスカートをはいている彼女たちを妙に尊敬してしまうのです。
 冬なのに、とか、思いながらだけど。

 言い足りない私の雰囲気を察しているのだろう。彼は強引に話をまとめた。

「まぁ、頑張ってフルコンプ目指してくれ」

「言われなくても」

 そんなこと、言われなくても分かってる。
 私がポッキーをもう一本口にいれると、彼は読書再開。本屋のカバーがかかった文庫本に挟んだしおりを引っ張ると、開いたそのページから読み始める。

 面白いからって大声で笑ったりしないし、そんなシーンだからって1人で興奮したりもしない。基本的にいい人面のポーカーフェイス。
 彼は外見も整っているので、文庫本がオプションとして似合うのだ。知的っぽいというか、インテリっぽいというか。勝手なイメージだけど。

 本当に、動揺のカケラもない、ごく普通の表情だから……彼が読んでいるは一般文芸の文庫本なのかって思ってしまうんだけど。


 違うんだな、コレが。
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