Two Strange InterestS
 ここまで言っていいのかどうか、正直迷った。
 だけど、もし、これを指摘しないで今後もこんなことが続くのならば……さすがの私も、きっと耐えられない。そんな優しさ、最初からいらない。

「女の立場から忠告させて。新谷氏、思わせぶりな言葉をかけるのも、抱きしめるのも……自分が好きな子だけにしておかなくちゃダメだと思うな。優しいのは性格だし、短所じゃないと思うから無理に変える必要はないと思う。だけどね……もし、今日みたいなことがあと何回か続いたら、きっと、私だって勘違いしちゃうし」

 そう、新谷氏……君は優しい。
 だけど、そういう優しさが時に人を傷つけるナイフになってしまうこと、多分、言われなくても分かっていると思うから。

 部外者である私が言えるのは、ここまでだ。ここから先は、彼がどう意識して、行動するか。

 私の言葉を黙って聞いていた新谷氏は、うつむいたまま、何も言わない。

 今日は……ゲーム、無理っぽいな。部屋の奥で私を待ってくれていた(であろう)風華ちゃんに心の中で謝りながら、「今日は……帰るね」と、まるで喧嘩した恋人が気まずい空気のまま部屋から出て行くような言葉を残して、寮に帰ろうときびすを返した。


 だけど。
 物語はココで終わりじゃない。むしろ……ココからが本番。
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