Two Strange InterestS
「俺は乙女ゲームに関して詳しいわけじゃないけど……主人公の基本スペックは同じだろう? 沢城都は明るくて負けん気が強くて自分に正直で周囲に鈍感で……それで、」

「そ……それ、で?」

 さり気なくビジュアルに関する言葉を避けたことは、後からしっかり追及させてもらうけど。
 もはや怒りを忘れて興味津々の私。彼は少し口ごもったあと、小さく、呟いた。

「……危なっかしくて、目が離せないんだよ」

「?」

 先ほどの怒りは恐らく失速している。私は必死に彼の言葉を自分に置き換えながら……ふと、

「私、そんなに危なっかしい?」

「ああ、そうやって自覚がないところが特に」

「例えば?」

 正面から見据え、尋ねてみる。

「だから――!」

 苛立たしげに言いかけた彼の口が、私の顔を見て止まった。
 私の、苦笑いとも確信犯とも言えないような、絶妙な表情に。

「沢城!?」

 悟った彼が、赤面して非難じみた声をあげるが……あーもダメ、我慢できない。
 私はその場でペタンとしゃがみ込むと、体を丸めて笑いをかみ殺す。全然殺せていないけど。

「あは……ごめ、ゴメン、新谷氏。でもねぇ……なんっつーかもう、本当にゲームのイベントみたいで……いきなり怒鳴ると思ったら口ごもるし、もう、途中から見ていておなかいっぱいになったよ。ありがとう……うん、ご飯3杯はいける」

「おまっ……お前、最低だぞそういうの!」

「最低で結構……ははっ、あーもーダメ、萌え死ぬ、かぁいいからお持ち帰りしたいし、キュン死にしちゃう、新谷氏が私を悶え殺す~!」

「勝手に死んでろ!」

 随分とヒドイ言葉を吐き捨てた彼だが……私は、座り込んだまま彼を見上げ、やっぱり笑ってしまうのだ。
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