Two Strange InterestS
 ……そんな感じで、結局、互いがいつものように個人作業に没頭して2時間ほど。
 私はイヤホンをつけてプレイしているので、彼には私が一人で画面に向かって愚痴っているようにしか見えないだろう。

 冷蔵庫からジュースの缶を2本取り出して戻ってきた彼は、私の頭にそれをのせた。

「うわ冷たっ! 差し入れは嬉しいけど、それは反則だよ!」

「首とどっちにしようか迷ったんだけどな」

 してやったり、そんな表情の彼から缶をもぎ取り、中身で喉を潤す。
 桃味の炭酸が、口の中で広がって……。

「……ん? これって……アルコール入ってる?」

「え? あ……」

 私と同じタイミングで口にした新谷氏は、本当に今気がついたらしく……間の抜けた表情で缶を見つめる。

「……まぁ、間違えちゃうよね。ジュースとさほど変わらないラベルだし」

 アルコール度もほとんどないようなものだし、特に自分が弱いという認識はなかったので、私は彼に「このままもらうね」と断ってから、再びパソコンに向き直る。

 けど、あんまりゲームにばかり興じるのも彼に悪いと思って、区切りもいいし、一旦そこでセーブしてから、パソコンの電源を落とした。
 これから……少し、新谷氏と話がしたいな。そう思ったから。

「新谷氏、あのね、今日はこれから……」

 かたん、と、彼がテーブルに空き缶を置いた。その軽い音から中身がないことがうかがえる。
 そんなにのどが渇いていたのだろうか。読書中とはいえ、もう少しこまめに水分補給すればいいのになぁ……。


「――都」


 私がそんな言葉を紡ぐよりも早く。
 椅子に座ったままの私を、いきなり下の名前で呼んだ彼が唐突に抱きかかえた。
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