Two Strange InterestS
 彼が読んでいるのは耽美小説。最近の言葉を借りるならBL――ボーイズラブ、美少年と美少年が繰り広げる今のところ法的には色々と禁断の世界を、そりゃーもう濃厚に、かつ、理想的に描いている小説なのだ。

 挿絵も少女漫画並のキラキラ具合で、表紙はホログラム使用。一目で分かる受けキャラは正直、女性かと思うくらい可愛いことも多々。
 現時点で私は専門外、というか受け付けないジャンルなのだけど……最近はあまり、そんなことも言っていられないような気がして。

 きっとそれは、この彼にも言えることだ。

 それに、さっき散々、画面の向こうのヒロインに突っ込みをいれたけど、よく考えると自分も似たような状況なんじゃないかって、ふと、思うこともある。

 先ほどちょっと述べたように、この部屋の主人は私じゃない。今、胡坐をかいて小説の世界に没頭している彼なのだ。
 要するに、「男の1人暮らしにホイホイあがりこんで」っていうのは私にも言えること。自分の無防備さに多少なりとも危機感を抱いてはいるんだよ、多分。
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