Two Strange InterestS
 うん、ここまで来たら認めよう。

 私は彼のことが、いつの間にか好きになっていたんだ。

 まぁ、私は自分がフラグを立てたつもりはなかったんだけど……抱きしめられて、キスされて……笑ってくれて。
 嫌じゃない、むしろ嬉しいと思っている私が、確かにいたから。

 彼が本気じゃない女性に対してこんなことをしないのは分かっているつもりだった。だから……だからこそ、このまま終わらせたくない。彼の過去に何があったのか、多分、まだ話をしてはくれないけど、

「いつか、名前で呼ばせてくれる……かな」

 まずは、近い将来……「新谷氏」じゃなくて、「薫」って呼べる関係になりたい。
 そして、その時の彼は……昨日以上に優しく、私の名前を呼んで欲しい。
 呆れ顔でもいい、苦笑でもいいから、いつか……太陽が高い時間でも呼んでね、「都」って。

 ただ、今はとりあえず、

「……冷蔵庫の中身をチェックして、アルコールは処分しなくちゃなぁ……」

 次に起きてからやることを頭の中にインプットしてから、そっと、もう少しだけ、彼に近づいた。

 互いの笑顔を死守するために、彼には今後、むやみに酒を与えないほうがいい、と……心の中で固く誓いながら。
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