Two Strange InterestS
 彼女は自分の友達からBL本を借りて俺に横流ししている。そういうルートには、俺にも若干の心当たりがあったから。

「……ねぇ、沢城さん、次にやるゲームって決まってるの?」

「へ? うーん……バイト代と相談かなぁ。色々やってみたいソフトはあるんだけどね」

 パソコンゲームの相場は8千円前後。彼女が寮生活であることも考慮して、あまり大人買い出来るものでもないだろう。
 ソフト名を指折り数えつつ優先順位を考えている彼女に、俺は、ある提案をしてみることにした。

「少し前のソフトであれば、貸せるかもしれないよ」

「……へ?」

 刹那、彼女の目が丸くなる。

「どういうこと?」

「いや、俺の友達もギャルゲーが好きだから。奴が持ってるソフトでよければ、俺が借りて沢城さんに渡せるな、と、思った……」

「本当!?」

 言葉を最後まで聞かず、彼女はがしっと俺の両手を握って、

「それは是非! ぜひっ! 全力でお願いしたいんですけどっ!」

「あ、あぁ……どこまで希望に添えるか分からないけど……」

「ううんっ! そんな申し出をしてくれるだけでありがたいよ!」

 そのままぶんぶんと大きく上下にふる。少し腕が痛い。
 でも、こんなに喜んでもらえるとは思っていなかったので、彼女の笑顔につられて俺も笑っていた。
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