Two Strange InterestS
 部屋の中で一人、ため息をつく。
 今日はバイトもなく、沢城もいない。久しぶりに一人だけの空間で、彼女に借りた小説でも読もうかとベッドに転がった。


「もう、無理だよ……私、このまま薫と一緒にいても疲れるだけなの」


 頭の中でフラッシュバックするのは、最後に杏奈から言われた言葉。


「どうして私ばっかり我慢しなくちゃいけないの!? 薫は私のこと、もうどうでもいいって思ってるんでしょう!? だから……あの噂も本当なんでしょう!? 薫が私のことどう思ってるのか……薫がどうしたいのか、全然分からないよ!」


 違う、そうじゃない。何度も否定した。だけど……俺の言葉はもう、彼女には届かない。

 どれだけ叫んでも、彼女は俺に背を向けて歩き始める。

 二度と、振り向いて笑ってはくれない。

 俺の心にはまだ、彼女のことが色濃く残っているけど。
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