Two Strange InterestS
 そうこうしているうちにタイムリミットになった私は、彼の部屋から出た後も……地に足がつかないというか、ぼんやりしているというか。

 だって、合鍵だよ? 確かそういうタイトルのギャルゲーもあったと思うけど……とにかく合鍵なんですよ奥さん。
 彼の部屋にいつでもいていいよって、そういうことなんでしょう? 例えば今日も、彼の帰ってくる時間をわざわざメールで聞かなくても――

「――幸せそう、ですね」

 私を現実に引き戻したのは、忘れられないロリボイスだった。

 目線を向けたその先、コンビニの入り口にいた彼女――林檎ちゃんが、冷たい表情で近づいてくる。

 今日も白いカーディガンに膝丈のフレアスカート、という、女の子らしいスタイル。パーカーにジーンズという私とは正反対である。
 まぁ、彼女と張り合おうにも……住んでいる世界も、見ている景色も違うから無理なんだけど。

 林檎ちゃんは、無修正で可愛らしい顔を「不機嫌」という感情でコーティングし、私を敵だと認識している様子。
 思わず私も、警戒してしまう。

「えぇっと……宮崎さん、だっけ。何か用? これからバイトだから、手短にお願いしたんだけど」

「言いたいことは一言です。先輩に変な影響を与えないでください」

 可愛らしい声で、可愛らしい顔で、彼女は随分ヒドイことを言うものだ。
 変な影響? 私が、彼に?

 ……いや、否定できませんが。でも、もう手遅れだとも思いますが。

 色々考える私とは対照的に、彼女は真っ直ぐ私を見据えて、強く続けた。
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