Two Strange InterestS
 今の言葉で確信したことが、一つ。

「……要するに。宮崎さんも彼の外見が良くて性格も趣味思考も「普通」なら、それでいいってことなんだね」

 ぽつりと呟いた独白は、きちんと彼女まで届かなかっただろう。一瞬訝しむように私を見つめた彼女だが、私が言い直さないことを悟り、再度、ため息。

「先輩は普通の人だし、先輩がそんな人と付き合うわけがないんです。貴女の影響が強くなる前に、先輩から離れてください」

 これ以上、彼女と話すことは何もない。それが、私の下した結論。

 無言で彼女に背を向けて、寮へ急ぐことにした。彼女が何か言いかけたけれど、それにいちいち反論するほど律儀な性格ではない。

 ねぇ、新谷氏。
 君はいつも……こんな思いをしてきたのかな。

 外見だけでしか判断されない。外見のイメージから外れることを周囲が許してくれない、そんな環境の中で生きてきたの?

 だとすれば……息苦しいね。心からそう思う。

 バイトが終わったら真っ先に逢いに行こう。そして、今日は私から……抱きしめよう。そんなことを考えながら、ポケットの中で揺れる鍵を……握りしめた。
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