Two Strange InterestS
 でも……よく考えたら、彼の体が熱かったのは、私と一緒にいた時から。服の上から触れられた私でも、少し違和感を感じるくらいだったし。

 そこで私が気がつければ、バイトは何とか理由つけてでも休んで、こんなに悪化するまで放置することにもならなかったわけだし。

 いや、でも違う。結局は自己申告しなかった新谷氏が一番悪いんだから。

 そうよ……鈍感すぎてここまで気がつかなかった新谷氏が、一番、悪いんだから。

「……ゴメンな」

 ぽつりと一言。心の中を見透かされたかと思った。はっとして思考を現実へ引き戻すと、相変わらず苦しそうな彼は……優しい表情で、私を見つめている。

「俺がもっと、自分に気をつけなくちゃいけなかったんだし……普通自分で気がつくよな、こんなに熱が高くなってりゃあ……」

 乾いた声で笑う彼。だけど、私は笑えない。笑えるわけがない。

 ……そうよ、自分で気がつきなさいよ。

 何を、へらへら笑ってるのよ……私は、私はっ!!

「普通、気がつくでしょ? 新谷氏、鈍感すぎるよ……もっと、もっと気をつけてもらわなくちゃ……」

 私は、もう、あんな思いしたくないんだよ?

 扉を開けて広がった暗い部屋。その片隅で倒れて動かない、好きな人の姿。
 びっくりして、焦って、叫びそうになった。不安が一気に襲いかかってきて……泣きそうに、なった。

 あんな、頭が真っ白になって、心臓がギュッとつかまれるような思いは、もう……!

「……私も、24時間一緒にいられるわけじゃないんだからね!」

 大きな声を出した瞬間、ベッドを思いっきり叩いていた。

 苛立ちは主に気がつけなかった私に対してなんだけど……でも、少しだけ、鈍感な彼への憤りも込めている。

 同時に――あぁ、私、本当に彼のことが好きなんだ……と、ツンデレに目覚めた瞬間でもあった。かもしれない。
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