Two Strange InterestS
 まぁ、とりあえず。
 看病イベント(すっかりイベントになっちゃったよ)の醍醐味といえばっ!

「すっかり汗だくになっちゃって。新陳代謝が活発なのは若い証拠よね」

 ぬるま湯で絞ったタオルで、私は彼の背中をゴシゴシと。

 そう、これぞ看病イベントの醍醐味……いや、個人的にはおかゆを食べさせるとか、そっちの方が楽なんですけど……とにかく醍醐味、「汗ばんだ体をタオルで拭いてあげよう!」である。

 ……とりあえず何も気にしないでください。冷たい目で見るのもやめてください。私としても、このまま放置して悪化させるわけにもいかないのです。

「猫背だぞっ!」

「いっ!?」

 無言の時間が気まづく、状況を打破しようと思って背中をバシッと叩くと、詰まったような声が返ってきた。

 ……ゴメンなさい神様。結局、私、彼を殴ってしまいました。悪意はないんです、許してください。

 初めて彼の背中。その大きさを、意外なイベントで体感する私である。

「とりあえず背中は終了。あ、シャツもコレに着替えてね。洗濯物が他にもあるなら、明日にでも洗濯機で……」

「……さっきのは普通に痛かったんだけど。謝罪は?」

「あ、もうこんな時間。私、今日はどうしよっか?」

「人の話は聞くように」

 話題をそらすことを許してくれない彼なので、着替えのシャツを渡しながら「ゴメンなさい。でも、それくらい言い返せるなら大丈夫かな」と、言いわけを一言。
 無言でシャツに腕を通した彼は、枕元にある携帯電話で現在時刻を確認し、

「もう1時過ぎか……本当に悪かったな、いきなり病人の看病なんかやらせて」

 どうやら、状況は大分マシになってきているらしい。はっきり言葉を紡いだ彼に、少し安心してしまう。
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