☆わがまま彼氏☆ ~あたしの記憶を取り戻して~
蹲っていたあたしに向かって来る足音が聞こえる。
その足音はあたしの前でピタリと止まった。
ゆっくりと顔をあげると、そこには梨香ちゃんの姿。
「どうしたの?」
優しく声を掛けてあたしの隣りに座った。
義人クンに言われた事と、自分の気持ちをゆっくり伝えた。
ふぁ~。
髪を撫でられたあたしはその梨香ちゃんの手が優し過ぎたのと、安心させてくれるのとで、何とか落ち着きを取り戻す。
「多栄?多栄は多栄じゃん!」
その言葉にグッときた。
だよね。
あたしはあたし。