半径1㍍禁止
紛れもしない、裕と真美の声。
「…ゃっ…ん…ぁ…。」
バレちゃうじゃんっ!
「どこ行ったんだよ。」
「ほら~、怒ってまた喧嘩しにいっちゃったのかもよ~!」
真美が言う。
「いや、それはないな。」
――ガチャ
そう言って、ドアが閉まった。
と、同時に唇が離れた。
「はぁー…。」
苦しかった。
「…邪魔しやがって。」
桐斗が不機嫌に呟く。
あんなに、怒っていたのに。
約束を破ったのに。
裕は、探してくれてたんだ。
なのに、私は。
こんな所で、こんな事をしていて。
改めて、私は何をしてるんだと思った。
「帰らないと。」
私が言った。
桐斗を見ると、冷たい目をしていた。
「なんで?裕が探してたから?」
桐斗が馬鹿にしたように笑う。