半径1㍍禁止

「なにって、喧嘩売ってんの。」

男の人が言う。

「…こいつ喧嘩する為に来てないし。
俺の連れなんだけど。」

そう言って、裕が一歩前に出る。


「そうなんだ~。可愛いね。」

私の肩に触れる。

「触れんな。汚くなるだろ?」

裕が言った。


「はっ…。そういや、お前。

中2のくせに、よくやるって言われてる奴じゃん。」

「…やってやろうか?」

裕が笑う。


私から離れた所で喧嘩が始まった。

裕が殴られる所は、見てられなかった。

思わず、目を瞑る。

そのまま、背中を向けていた。


もう、見てらんない……。


私が下を向いてると、頭を軽く叩かれた。

顔を上げる。


「よう。」

そう言って、ニカっと笑う。

さっきのリーダー的な人だった。

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