半径1㍍禁止
隠してた事
「…裕っ。」
私が言うと、裕が笑う。
いつもそう。
私が裕って呼ぶと、笑ってくれる。
「入っていいよ。」
「家入んの久しぶり。お邪魔しまーす。」
裕が嬉しそうに中に入る。
リビングに入って、裕がソファーに座る。
「変わってないな。」
「あ、お菓子持ってこようか?」
そう言って、立ち上がる。
と、腕を掴まれた。
「いいよ。」
裕が優しく笑う。
私は、黙って座った。
「……藍衣。」
裕から、呼ばれる。
「なに?」
「ちゃんと、話す。
確かに、自分勝手すぎたと思う。
だから、昨日も喧嘩になったし…。
ごめんな。」
裕が申し訳なさそうに言う。
なんでだろうね。
暴力の喧嘩だと、あんなに強いのに。
私との喧嘩だと、いつも弱い。