半径1㍍禁止
「帰るんでしょ?送るよ。」
桐斗が私の手をとる。
「…いや、いいよ。
慣れてるし、大丈夫。」
私が言う。
けど、腕を引っ張られて公園を出た。
結局、拒否権ないんだ…。
桐斗の背中を黙って、見ていた。
「今、何時?」
振り返って、私に言う。
携帯を開く。
「…1時。」
…………最悪。
思わず肩を落とした。
「なに、どうかした?」
「今日、バイト…。」
「そうなんだ。頑張って~。」
軽っ…。
他人事だからって…。
「藍衣の家どこ?」
桐斗が立ち止まる。
知らないんだっけ?
「こっち。」
ここ曲がったら、すぐなんだけど。
「ここ。」
私が指を指して言った。
「…ここか。近いね。」
桐斗が笑って言う。