半径1㍍禁止


「…電話。」

桐斗が笑いまじりに言う。


電話って…。


「そんなの分かってるっ!」

私が口を尖らせて言った。



「藍衣の事、考えてた。」


藍衣の事……。




「なんて言ったら、どうする?」

「……へ?」

思わず、まぬけな声を出してしまった。


「クスっ…。」

電話越しでも、わかる。

きっと、馬鹿にしたような笑みを浮かべてるに違いない。


「…からかわないでよ。」

緊張して電話した私が馬鹿みたい。

「ま、本当の事だけどね。」

桐斗が言う。


……嘘だよ、嘘。


「で。なんか、用事?」


なんか用事って……。ねえ?


「なに、俺に会いたいとか?」

冗談のつもりかもしれないけど…。

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