半径1㍍禁止
ねえ、あたし……。
「あ…。」
桐斗が言う。
右を見ると、真美と純平君がいた。
「……見て…ないよ、…ね?」
私が言うと、真美は横に首を振る。
「…見てたよっ!」
満面の笑みでそう答える、真美。
気づけば、ここ廊下のド真ん中だし。
真美の方に逃げようとすると、桐斗に捕まえられた。
「逃がさない。」
桐斗が、ニヤリと笑う。
なんなんだ…。
「この状況分かる?離れてよ。」
私が言った。
「…この状況だから、離れないんじゃん。
藍衣も本当は、離れたくないでしょ?」
よく、自分のお兄さんの前でそんな事を…。