半径1㍍禁止
☆思わせぶり
「ブスーッとした顔してるねっ!」
真美が私の顔をまじまじと見る。
「ブスーッとって…。」
なんか、他に表現ないわけ…?
「…ねえ、藍衣。」
「ん?」
「藍衣はー、
桐斗君が好きなんじゃないの?」
「…は!?…ゲホっ!ゲホっ…。」
つい、むせてしまった私。
「分かりやすいよね…。」
真美が笑う。
違う、違う。
「好きじゃないっ。
あくまでも、好きだったっ!」
私が、机をバンっと叩く。
「なら、いいけどさっ!」
真美が、口を尖らせて言った。
ならってなによ…、ならって…。
「もう、関わらないっ!
なんにもないっ!ただの他人っ!」
そう言って、うつぶせになる。