半径1㍍禁止


「昨日の恨みは、まだ返せてないから。」

服を引っ張って、無理やり立たせた。


もう一発ぐらいは、やらなきゃ気が済まない。


そう思って、手を振り上げた時。


「藍衣っ!!」


真美が物凄い大きな声で言う。


びっくりして、思わず手を止めた。


「いくらなんでも、やりすぎだよっ!」


「………え?」


真美の方を見る。


「…確かに元ヤンだし、喧嘩ばっかりしてきたから仕方ないと思うけど…。

なんでも、暴力で解決するのは…どうかと思うよ…。」

真美が小さな声で言った。


手を見ると、拳がかすかに震えていた。


もしかして……、怖がってる?



「………ごめん。」


悲しくなって、振り上げていた手をさげた。

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