半径1㍍禁止

スクープ


「帰りたくない?」

桐斗が優しく問いかける。


私は、黙って頷いた。


「いつも遅くて、親心配しない?
俺ん家は、全然だけど。」

桐斗が言う。


ふと、お母さんの顔が浮かんだ。


「……全然。
心配どころか、興味もないしっ!」

私が笑って言った。


「…そんな事ないでしょ。」

桐斗が言う。


「あるよ。
もう、会話もろくにしてないし。

1人暮らししてるようなもんだよ。」

私が下を向いて言った。


「両親、共働き?」

「えっ…?」

思わず、声が出た。


「……なんか…、いけなかった?」

桐斗が困った顔をする。


「………お父さん。
離婚していないんだ。」


別にいけないわけじゃない。

別に秘密にしてたわけでもない。

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