半径1㍍禁止
「それに。
これこそ、王子の役目みたいな?」
桐斗が笑う。
「藍衣は、手出しちゃダメだよ。」
そう言って、私の頭を撫でる。
「…ん。」
納得いかないけど、返事をした。
歩き出す。
「ってか、恨み買うような事したの?
アイツに。」
桐斗が平然と言う。
…失礼だろ。
「…してない…と思うけど。」
そんな昔の話とかになったら、誰殴ったとか覚えてるはずがない。
桐斗がいきなり立ち止まる。
「んもー、なんなのさ。」
私が桐斗に言った。
「……俺、どこ向かってんだっけ?」
「…………。」
面白い事、言い出すのね。
「…何組か知ってる?」
私は、黙って首を振る。
知ってるはずがない。