半径1㍍禁止
負けず嫌いな、私。
親の言う事なんかに、黙って従えるはずがない。
ある日の夜。
裕と、夜道を歩いてる時だった。
「……あっ…。」
目の前を歩いてる人を見て、固まった。
「どうした、藍衣。」
裕が私を見る。
「ねぇ…、あれ……。」
私のお父さん……。
若い女と寄り添って歩く、私の父親。
―――不倫
―――浮気
真っ先に私の頭に浮かんだ、単語。
「…藍衣のお父さんじゃん…。」
裕も言うんだから、間違いない。
私には、散々言っといて。
自分は、こういう事をしてたんだ。
怒りが込み上げる。
「…今は、やめろよ?」
裕が優しく言った。
「分かった…。」