半径1㍍禁止

その日は、いつもより早めに帰った。

もちろん、あの事を話す為。


――ガチャッ


いつも帰ると、お父さんが出てくる。


「…お前は、またっ…!!」

顔が一気に変わる。


よくこんな怒鳴って、飽きないもんだ。


「…本当に言わなきゃ、分からないようだな。
ちょっと、こっちに来いっ…!」

無理やり腕を引っ張られる。


「ちょうど、あたしも話があんだよ。」

私が言う。


「…お父さん…、もういいわ。
ほっといてて。」

お母さんが心配そうに言った。


もう、お母さんは私の事について何も言わなくなった。

呆れられている。



「いや、ちゃんとした大人にさせる為だ。
お姉ちゃん達を見習えっ…!」

お父さんが険しい顔で言った。


「……ちゃんとした大人?」

私が鼻で笑って言う。


よく、言うよ。


「浮気してるくせに。」

私がポツリと言った。


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