半径1㍍禁止
「……俺より裕を選ぶなら、行けよ。」
――選べるはずがない
桐斗のことは、本当に好きなのに。
踏み出すことを拒んでしまう。
――俺には、お前が必要なんだよっ…。
ずっと黙っていると、桐斗が私を見下げて言った。
「………裕を選ぶくせに。」
桐斗が私の手を放す。
こんなこと言うとは、思わなくて。
唖然とした私を置いて、桐斗はいなくなった。
――待って、行かないで
それすら言えなかった。