半径1㍍禁止
「…………裕……?」
思わず名前を呼んだ。
「行けよ、藍衣。」
優しく温かい声が返ってきた。
けど、あの笑顔は向けてくれないんだね。
裕は、背中を向けたまま。
「藍衣の気持ち、聞いて気づいた。
…俺が、無理やり藍衣を縛りつけてたんだな。」
――そんなことないよ。
そう言ったら、また迷惑になりそうで。
裕には見えないのに、ただ首を横に振る。
「けど、嬉しかった。
俺を必要としてくれて。」
あの時を思い出した。
桐斗と喧嘩になって、真っ暗な中帰った時。
裕は、私を見つけて言ってくれた。
『俺には、藍衣が必要なんだよっ…。』
私にだって、裕が必要だよ。
今更、裕がいない人生なんて考えれないよ。