ドールタウンミーティング

だめだ
こいつと話してもムカつくだけ

こういう場合は相手を変えるべきだ

「あんたじゃ話にならん。他の人に変わってくれ」

「はーい」

気だるい返事の後で保留音

変わって出たのは男

野太い声

「はい、お電話かわりました」

落ち着いた声だ
中高年だろうか？

「どうかしましたか？」

声に気を取られてまだ声を発しない俺に向けられた言葉

しきり直り
いやさっきの女の対応の方が先だな

「さっき女性なんですがなんなんですか？ありゃ？」

「何か失礼でもございましたか？」

あまり動揺はなあようだ

「いや、自殺防止のNPOなんですよね？ここは。死ねっ言われましたよ。しかもふざけた態度で」

「ご不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません」

男は心のそこからすまなそうな声

「それはお怒りなのもごもっともです。事実関係を確認の上、厳重に注意致しますので差し支えない範囲で詳しく教えていただけますか？」

いやー
あれは説明が難しいな

「まじめに自殺を考えているのに、死にたい奴は死ね、とかですね。態度だって酷い。あれは明らかにふざけてやってますよ」

男は細かく相づちを打ちながら聞いているようだ

受話器越しにでもそれが伝わる