ドールタウンミーティング
職場については満足な訳なのだが、職場の場所だけが問題だった。

人形町から甘酒横丁を通り抜け明治座の手前に事務所を構える職場。

珍しく実家に訪れた叔父にその話をしたところ狂喜乱舞して喜んだ。

自分の事務所も人形町だと。
人手が足りないからバイトしてくれないかと。

さすがに平日は仕事だと断ったがむしろ休日に手伝って欲しいとのことだった。

単なる電話番と聞き、安請け合いしたのが悔やまれる。

まあ、電話も少ないし、濃い内容のものはさらにその中の一割にも満たない。

割の良いバイトである事は変わりないので、頼まれるたびに引き受けているわけ。

今日だって１日いて電話は３件しかない。派遣切りされた中年女性といじめにあっているという中学生。

話を聞き、相づちをうち、一般論で語りかけると満足して電話を切った。

なんだか訳のわからないあの男さえいなければ平穏な１日だった。

またかけてきそうな気がしたがその後電話はまるで鳴らない。

アタシは猫の額ほどのベランダに出てタバコを吸いながらこれからの事を考えた。

よし、ゲームでもして暇を潰そう！
< 24 / 29 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop