加納欄の想い シリーズ12
取り戻せてない記憶に、孔明師範や遼との関係がまだある。



それに、この知らない人達・・・。



「欄!」

 あたしが、あれこれ考えてる間に、男が、あたしの目の前にいた。

 集中力が、散漫になっていた。



殺られるっ!



 そう思った。

 あたしは、思惑目をつぶった。

 懐から拳銃を出し、1発で仕留めるだろう。

 あたしは、覚悟を決めた。

 武術でかわそうにも、飛び道具には、かなわない。

 すると、男は、あたしを優しく抱きしめた。

 突然の出来事に、あたしは動けなかった。

 とくに孔明師範も、動かず、椅子に座ってあたしを観察しているようだった。



え・・・?



「無事でよかった」

 男は、ため息をついた。

 そして、男はあたしの頭に拳銃を突きつけた。



あ、やられた(>_<)



 隙を与えるつもりはなかったんだけど、あたしの今の集中力のなさが、この結果をうんだ。



師・・・範。




あたしは、孔明師範を見た。


孔明師範は、慌てることもなく、あたし達の様子を眺めていた。

「欄、逃げるぞ」


男が、小声で話しかけてきた。



逃げる・・・?



なんで・・・?



 男が言っている意味がわからなかった。

 すると、孔明師範が、クックックッと笑い始めた。

「何が可笑しいんだよ」

 男が、孔明師範に向かって、怒った。

「いえ、すみません。欄、こちらにいらっしゃい」

 孔明師範が、優しく言った。

 あたしは言われたように孔明師範の元に戻ろうとした。

「欄、お前どおしたんだよ。なんで、いいなりになってんだよ。催眠術にでもかけられてんじゃねぇだろぅなぁ」

 拳銃をしまうと、男は、あたしの腕をつかんだ。

「大山さん。人聞きの悪いこと言わないでくださいよ」

 孔明師範が、立ち上がった。

「さぁ、欄、私の元へ」

 孔明師範が、あたしに手を差しのべた。あたしは、その言葉のまま、フラッと孔明師範の方へ歩いて行こうとした。

「おい、欄!」

 大山が、マジかよ。

 と、呟いた。

 さらに、あたしのうでを強くつかんだ。

「っっ!!」



イッタ……!!



「欄、早くいらっしゃい」





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