加納欄の想い シリーズ12
「まかせろ!」

 って、言ったわりには、あっけなく勝敗がついた。

 孔明師範は、あたしを抱き上げたまま、あの2人を倒したのだ。

 あたしは、そのまま孔明師範に、抱かれたまま、ホテルから連れ去られた。

 縛られていたフェイさん達も、一緒に移動した。

 車に乗って、孔明師範の顔を見たら、青筋が立っているのが、わかった。



これは・・・。



これは・・・。



怒ってる・・・。



話さないにこしたことはない。



「欄」



なんで話しかけてくるの(@@)?



「もぅ、心残りはないですね?」

「え?」

「今から中国へ帰ります。フェイ、成田へ」



ちょっ(>_<)



「待ってください!あのっ」

「まったく、ここにいてもロクな事がない」



ロクな事って。



あたしのせい?



「あの、孔明師範、私、あの人達と、お話ししたいんですけど」

 あたしは、孔明師範を見ながら言った。

「する必要がないと言っているでしょう」

「どうして?」

「必要がないからです」


・・・・・・。


「あの人・・・大山・・・さん?の声が、耳から離れないんです。あの人の声を、聞いたら、記憶が戻りそうな気がしたんです」

「欄」

「・・・はい」

「お前は、誰を愛してるんです?」

「え?」

「記憶を無くしたら、私の言うことは聞いてももらえないんですか?」



え?



「いえ・・・そんな」



だって・・・!



そんなこと言われても・・・(>_<)



 あたしが困っていると、孔明師範がおでこにキスをしてきた。

 あたしは、思惑顔をそむけた。

「待って・・・」

「ダメです。待てません。私を忘れて、知りもしない奴の事を考えるなんて、頭の中を、私の事でいっぱいにさせてあげますよ」

 そう言うと、孔明師範は、さらにキスを続けた。

「キスの仕方も忘れたんですか?口を開いて、私を感じてください」

 ビクッとした。

 孔明師範の舌があたしの唇から割って入ってきた。

 うまく、息ができなかった。

 孔明師範が、またあたしを見つめた。


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