加納欄の想い シリーズ12
あんなに、自分との事を思い出してもらおうと、必死に話してくれてるのに、疑ったら失礼だ。



 あたしは、そのまま目を閉じ、孔明師範のキスを受け入れた。



あたしは、孔明師範の奥さんなんだ。



日本に用がないなら中国に帰ればいいんだ。



中国へ戻れば、何か、もっと思い出すかもしれない。



孔明師範と、生活していけば、何かは思い出すかもしれない。



あたしは、頭の中で、1つの結論を出した。



「師範、私、中国へ帰ります。あなたとともに、向こうに戻ったら、また記憶が、戻るかもしれないし」

 孔明師範は、あたしを引き寄せた。

「・・・欄、ゆっくり、記憶を取り戻していきましょう」

 孔明師範は、あたしを抱き締めながら、そう答えた。

 孔明師範の、口元が、ニヒルにつり上がったが、あたしには、わからなかった。

 突然車がスピンした。

 あたしと孔明師範は、座席から落ちたが、孔明師範が、素早く下になり、あたしを受け止めてくれた。

「大丈夫でしたか?」

「はい、ありがとうございます」

 そんな会話をしていた時だった。

 運転席のドアに銃弾がはしった。

 間髪入れず、後部座席のドアが開いた。

「出てきてもらいましょうか」



誰?



 あたしは、ゆっくり孔明師範から離れて、外へ出た。

 あたしの顔を見て、相手がたじろいだ。

 孔明師範も、後から出てきた。

 ポーカーフェイスを気取っているけど、周りを囲まれ、拳銃を突き付けられては、どうすることもできなかった。

 チラッと、運転席に目を向けたが、フェイさんと、他の部下は死んでいた。



こんな場面でさえ、恐怖心はない。



普通なら考えられない。



あたしは、やっぱり・・・。



「孔明さん。この前のお話し、帰る前に、もう1度検討していただきたいのですがね」

 囲んでいる奥から、男が歩いてきた。


見覚えが・・・(-.-)


「加納・・・お前もいたのか」

「こんなやり方で、私を脅してるつもりですか?」

 孔明師範が、興味のなさそうな声をだした。

「師範、これは・・・」

 あたしは、孔明師範に、小声で聞いた。


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