かえるのおひめさま
吹奏楽部に入っている
「おけいはん」によるピアノ伴奏で
私たちは声を揃えて歌った
が
一小節を終えた所ですぐに止まった
辺りには不穏な空気が流れる
…明らかに
みんなの視線が私に刺さっている
私は何か言おうとしたけれど
音痴である事はどうしようもできない
少しの間沈黙が続いたが
王子が笑いながら言った
「さすがかえるのうただねー。みんなの注目集めまくりだ」
ショージがそれに続く
「王子。まるでフォローになってないよ。僕は姫の歌好きだなー」
サクもすかさずのっかった
「だいじょぶだいじょぶ。音痴やけどリズムはきっちり取れとるから」
3人ともフォローにはなっていなかったけれど、こいつらの優しさが嬉しかった。
「いやいやー。すまんねー。本番までにはきっちり練習しとくからさー」
私はそう言いながら
チラチラとおけいはんの方を見た
おけいはんはニッコリと笑い返した