放浪カモメ

キズナ



次の日。

清々しいほどに晴れ渡っている空の下、そんな景色に似合わぬ顔をしながら鴨居は大学へと向かっていた。

今日の講義は午後からだったので、余裕を持って昼を学食で済まそうと思い早くに来ていた。

食堂につくと、券売機で『カレーライス』を頼む。

「何またカレーなん!?」

後ろから声がして鴨居が振り向くと、そこには既に食べ終えた昼食のトレイを持っている新田の姿があった。

「あっ……新田くん。おはよ。」

そう言って笑うと、新田は少し哀しげな表情で笑うのだ。

そんな様子に疑問を持った鴨居が、新田に問い詰めようとした時。

「はいよ。カレーライスとマヨネーズ。」

食堂のおばちゃんの威勢のいい声にタイミングを失ってしまう。

鴨居がしぶしぶカレーライスの乗ったトレイを受け取っている間に、新田は食堂から出ていってしまっていた。

「あんな新田くん初めてみたな……早苗ちゃんのことだよな?やっぱり。」



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