放浪カモメ
「お待たせ致しました、フレンチトーストになります。」
「ありがとっ。」
大川は受け取ったフレンチトーストを一口大に切り分けながら話を進めていく。
「うん。まぁ、参加したくてしてたわけじゃないんだけどね。人数合わせで連れてこられただけ。」
そして切り分けたトーストを、雰囲気とは似合わぬ上品な手つきで小さい口に運んでいく。
「で、行ったは良いんだけどチャライやつばっかで良い男いないしさぁ。早く抜けたいなぁーって考えてた所に――」
大川はさっきの上品さはどこへいったのか、下品にも持っていたフォークで鴨居を指差した。
「カモ君がいたってわけ。私はすでに酔っ払ってたカモ君を誘って違うお店へ。」