放浪カモメ
それからまたバカみたいにくだらない話をして、杉宮は最後に一言だけ「会わなければならない人を待たせているから」と言って店を後にした。


「普通になんて生きなくていい、オレはオレらしく生きろ。……か。」

鴨居は一口だけ残っていたグラタンを口に運んだ。

「そうだよなぁ……」





店を出ると風は驚くほどに静かになっていた。

生暖かい空気のなか、そよ風が運ばれてくるのが、たまらなく心地いい。

「杉宮先輩はオレに頼れ。と言ったけれど……杉宮先輩が頼れる人っているのかな?」

そんな不安も冷たい風が、火照りとともに優しく流していった。




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