放浪カモメ
鴨居はビデオを借り終えると、店から出ていこうとした。
「あ、そういやオレの分もとかってお金貰ったんだよな……100円。」
特に借りたいビデオなどなかったのだが、何故か鴨居はまた店の中へと戻る。
「あれ?なんだろう足が勝手にどこかに向かってるような気がする。」
鴨居はサスペンス、ラブストーリー、ホラーなどには見向きもせずにある場所へと向かった。
そこにあったのは……
「ん?……これって。」
それはある少年が、家族の不仲や受験苦、いろいろな葛藤の中で悩み、自分探しの旅に出掛ける。
ヒッチハイクをしたり、不法投棄の自転車を使ったりして、憧れていた知床半島を目指す。という内容の物だった。
鴨居は佐野から貰った100円玉を握り締めると、そのビデオを手に取った。