放浪カモメ




父さんの笑顔が大好きだった。

それは記憶にはない写真として記録された笑顔。

それでもオレはやっぱり父さんの笑顔が大好きだった――





杉宮は静の病室で倒れてから、丸一日眠り続けていた。

そんな杉宮に付きっきりで看病する人の姿がある。

(あ……温かい手。それに大きな手だ。静兄さんじゃない………もしかして)

バッと目を覚ました杉宮が目にしたのは、今頭をよぎった人物ではなどではなかった。





< 161 / 328 >

この作品をシェア

pagetop