放浪カモメ
それからソガの地元の話や、北海道の山中で野宿をしていて熊に襲われかけた話を聞いた。
辺りも静まると、ソガが急に真面目な顔をして言うのだった。
「でも、きっとさカモが思ってるほど遠くにはいないと思うよ?」
「どういう意味ですか……?」
核心を聞き出そうとした鴨居だったが、今までとは違った優しげな笑みでソガは言う。
「さぁ?それは、カモが見つけだすこと、見つけなきゃいけないことだと思う。そうだろカモ?」
鴨居は小さく「はい」と言って大きくうなずいた。
ソガは大きな手でカモの頭をグシグシと撫でる。
「ま、気張れや少年。」
最後にそう言ってポンと頭を叩くと、ソガは寝袋のチャックを上までしめ、眠ってしまった。
ソガの豪快ないびきに睡眠を妨害されながらも、人と接することの大切さを再確認した鴨居だった。