放浪カモメ

佐野は相変わらず羞かしげもなくシャツをはだけさせ、その豊満な胸の谷間を見せ付けている。

「あ、佐野せんせい。杉宮先輩見ませんでした?」

佐野は白衣の胸ポケットから煙草を取り出すと、マッチで火を点ける。

その姿があまりにもサマになっていて鴨居は煙草は嫌いだったが「格好いい」だなんて思ってしまう。



「ん?なんだ杉宮と一緒だったのか…あいつな、アタシがここに居ると逃げやがるんだよ。」

鴨居には杉宮が何故佐野から逃げたのか分からなかった。

佐野は空に向かってゆっくりと白い煙を吐き出す。

「にしても。お前ら本当に仲良いな。そもそも、学科も違うのにどうやって知り合ったんだ?」

突然に聞かれて鴨居はほんの少し昔を振り返る。

「あ、オレ1年の時の始業式でサークル勧誘の人に絡まれちゃった時があったんですけど………




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