放浪カモメ
ブルブルと身体を震わせているメグを鴨居は優しく抱き締めた。

「メグちゃんもう大丈夫だよ。野犬は逃げてったし。」

メグは小さく鴨居の胸の中で頷いただけだった。

まだ怖くて言葉が出ないのかもしれない。

「怪我見せてごらん?」

メグのズボンを捲り上げると、細い足から血が出ていた。

鴨居はすぐに自分のカバンから救急セットを持ってくると応急処置をした。


応急処置を終えた鴨居が、救急セットを片付けていると、小さな声でメグが鴨居の名前を呼んだ。

鴨居はギュッと強く抱き締める。

それからずっとメグが落ち着くまで鴨居がメグを離すことはなかった。
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