放浪カモメ

放浪カモメ

あの夜から、鴨居とメグの距離は急速に縮まっていた。

何故か今は青森県からまた南下して宮城県にいた。

「気持ち良い風邪だなぁ。」

とある港で二人は休んでいる。

船着き場から少しの所にほんの少しの浜辺があった。
「クェ。クェー。」

水鳥たちが優雅に海色の空を舞っている。

「カモ、私ねカモにこれからもくっついて行こうと思うんだ。」

浜辺に寄り添って座り海を見ながらメグがそう言った。

「メグちゃんはさ、いつまでに家に帰る予定だったの?」

メグと呼ばれる度にメグは悲しくて胸が軋むのを感じていた。

こんなことは鴨居と出会うまでは一度もなかったのに。

「帰るつもり無かった。裕福だけど誰も居ない家なんかもう嫌になっちゃったんだよね。」

最近はメグは自分のことも話すようになっていた。

「パパもママもお仕事で家には居ないの、私と一緒に居てくれないなら養子なんてする必要なかったのに。」

「そっかぁ。」

港風が二人を包む。

「居場所がないならオレがメグちゃんの居場所になってあげるよ。ね?」

暖かな笑顔にメグは涙を流した。

なきじゃくる彼女を抱き締めて、キスをして、そして優しく頭を撫でる。


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