放浪カモメ
その少年が鴨居の元へと歩み寄ってきた。

若者らしいラフな格好に鴨居は内心びびっている。

しかしそんな感情は、一気に吹き飛ばされることになる。

「鴨居さんですか?要くんから話聞いてます、オレ立石悠太。宜しくです。」

くったくの無い笑顔。

下手な敬語。

悠太の態度全てが鴨居を安心させた。

「あ、オレは鴨居友徳。お世話になります。」

悠太は鴨居の見るからにしたてな態度に思わず吹き出した。

「ぷっ。ホンマに聞いた通りの人なんやなぁ。鴨居さんの方が年上なんやから敬語とか使わなくて良いですよ。」

目の前の人から聞こえた関西弁に、当たり前なんだけど自分が本当に大阪に来たのだと実感した。

「あ、すいま……せん。」

「ってまた敬語やんけ。はは、まぁいいや。疲れたでしょ?今日は家でゆっくりしてってください。煩い姉がおるからゆっくりはでけへんかもしれないですけど。」

素早い突っ込みを入れると、悠太は鴨居の荷物をタクシーに積み込んだ。

二人はタクシーに乗り込むと悠太の家へと向かっていく。

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