放浪カモメ
インターネットで検索できた児童養護施設は21にものぼった。

とにかく鴨居は一つずつシラミつぶしに訪れていくしかないと考えていた。

「ここがスーパーだから、あの角を曲がって……と。あった。」

最初に訪れたのは光園と言う児童養護施設だった。

施設自体はそれほどの大きさではなく、少し豪勢な邸宅といった感じ。

鴨居は深呼吸をして中に入っていく。

「すみませーん、どなたか居ませんか?」

鴨居の訪問にまず応えてくれたのは、小学生低学年くらいの少年だった。

「お兄ちゃんだあれ?」

「あ、えっと……おうちの人いるかな?」

不思議そうに首を傾げたが、少年は奥へと走っていくと、中から誰かを呼んできてくれた。

「あら、こんにちは。……えっと、どのような御用でしょうか?」

職員らしき女性が出てきたので、鴨居は事情を説明して、メグの写真を見せる。

「このメグという女の子を捜しているんです。突然何も言わずに居なくなってしまって……施設で育ったと言っていたので心当たり無いでしょうか?」

鴨居の真剣な態度に職員総出で過去に光園で育った子供達の資料を読み返してくれたが、メグらしき子供に関する資料は出てこなかった。

「お力になれなくてスミマセンね。」

本当に申し訳なさそうにしてくれて、鴨居は見ず知らずの人間のためにここまでしてくれるなんて、と嬉しくもなったが、やはりメグに関する情報を得られなかったことで落胆を隠せなかった。

「いえ、本当にありがとうございました。他をあたってみることにします。」

最初に話を聞いてくれた職員さんが門のところまで送ってくれた。

そして最後にポケットに入れていた生キャラメルをくれた。

「諦めないで頑張ってね。」

その人は鴨居の姿が見えなくなるまで、そう言って手を振って見送ってくれた。


一日目は何の情報も得られぬままに終わる。

地図にある児童養護施設はあと18。

果たしてこの中にメグに繋がる情報を与えてくれる所があるのか。

それすらもわからぬままに鴨居の必死の捜索は続いていく。
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