放浪カモメ
「私との結婚はそれほどに辛いものなのですか?」
その言葉に杉宮はしっかりと首を振った。
「ゴメンね。ただちょっとだけ思い出しちゃってさ。」
「思い出していた……?」
涙をぬぐって、花嫁に振り返ると、杉宮はいつもの笑顔に戻っていた。
「一緒にバカやった奴等のことをね。」
そして二人は一緒に広間へと戻っていく。
何かを吹っ切った杉宮が、初めて花嫁の手を握った。
顔を赤く染める花嫁と、しっかりと手を握る花婿が戻ってくると、そこにいた二人の親類から安堵の笑みが零れた。