放浪カモメ
鴨居と杉宮が二人で飲みに行く場合、そのほとんどが駅前の大手居酒屋チェーン店になる。
「いらっしゃーい。」という元気な掛け声が気持ちいいし、何よりも安い。
バイトなどで頑張っても、給料のあまりよくない大学生にとって安さとは何よりも大事なファクターだった。
鴨居も杉宮も煙草は吸えないので、割合女性客の多い禁煙席に着いた。
「とりあえず生で乾杯といこうか。」
「うぃっス。」
二人は枝豆と焼き鳥セット、生ビールを頼む。
大学の講義が終わってすぐに来たからなのだろう、それほど客はいなく。
注文した料理はすぐに二人のもとに届いた。
「そんじゃ、乾杯。」
「乾杯。」
ジョッキをカンと合わせて、二人は飲み始めた。
「うん、美味い。やっぱりかったるい講義の後は冷えた生に限るな。」
杉宮は幸せそうな満面の笑みを浮かべ、ビールでゴクゴクと喉を潤していく。
鴨居はそれほど酒が強くないので、チビチビと舐めるようにビールを飲んだ。
「で、先輩の彼女さんてどういう人なんですか?いつから付き合ってるんです?ってか、どういった出会いを?遠距離って?たまには会ったりしてるんですか?」