放浪カモメ
真っ白な教会のある結婚式場が見えてくると、ようやく結婚式だという実感がわきはじめた。
「えっと受付は中かな…?」
おそるおそる鴨居は、式場の中へと入る。
中には正装をした人達が和やかに話をしていた。
手前の方に受付を見つけたので、鴨居は受け付けをしている人達の列に並んだ。
作法が分からない鴨居は前に並んでいた小柄な女性をお手本にする。
その女性は招待状を受付に見せ、出席欄に記入をした。
「あ……この人。」
三芝梓。三芝要。と書かれた欄にサインがされた。
じっと見ていた鴨居の視線に気付いた梓は、にこりと笑うと軽く会釈をして、どこかに行ってしまった。
「あの人が三芝さん。もう一人の人はどこかで休んでいるのかな?」
鴨居も梓の真似をして受け付けをする。