放浪カモメ






ずっと不安だった。

杉宮先輩も佐野先生も、二人はまだ好き合っていて。

何か疑問とか悲しみとかそういう、迷いみたいなモノを抱えながら結婚するんじゃないのか?って――

望んでもいない相手とこれからの長い長い、気の遠くなる様な時間を共にするんじゃないのか?って――



でも、どうやらそうじゃないみたい。

きっとまだ二人は好き合ってる。

だから……その思いはそのままに、思い出と一緒に胸の内にしまって。

これから別々の道を歩んでいくのだ。

今こうして見せている、何の曇りもない笑顔で。



そう――きっと。
< 295 / 328 >

この作品をシェア

pagetop