放浪カモメ
ずっと不安だった。
杉宮先輩も佐野先生も、二人はまだ好き合っていて。
何か疑問とか悲しみとかそういう、迷いみたいなモノを抱えながら結婚するんじゃないのか?って――
望んでもいない相手とこれからの長い長い、気の遠くなる様な時間を共にするんじゃないのか?って――
でも、どうやらそうじゃないみたい。
きっとまだ二人は好き合ってる。
だから……その思いはそのままに、思い出と一緒に胸の内にしまって。
これから別々の道を歩んでいくのだ。
今こうして見せている、何の曇りもない笑顔で。
そう――きっと。