放浪カモメ
その後も披露宴は盛り上がり、新郎の父親が乾杯の音頭を取り食事をしたり。
新郎の友人が祝福の為に生演奏で歌を歌ったりした。
そして新郎新婦が各席を回ってキャンドルサービスをしたりもあり。
そのキャンドルサービスの際に、杉宮が必要以上に佐野をはやしたてた。
どうにか怒りを抑える佐野が、新郎に聞こえないようにぼそりと一言。
「お前ら、後で殺す。」
なんで自分まで対象にされているのか困惑しながらも鴨居は笑った。
ふっ、と笑うと佐野は振り向き次の席へと移る。
その時に一度だけ、目元をぬぐったのを杉宮は見逃さなかった。
そして、お色直しをして、ケーキ入刀をした。
切ったケーキがゴロっと落ちる。
不器用な二人の愛の形を見たようで、温かな涙が止められなかった。